犬と塩分の意外な関係

ペット栄養管理士。 子供の頃から犬と一緒の生活。 犬には、ただ長生きするだけでなく”健康に天寿を全うして欲しい”との思いから、犬の食事の勉強を始めました。今では趣味の一つに。 良質な食事と同時に、運動も健康に大きく関わる事を実感してます。 飼育経験・犬の栄養学・運動に関する記事を書いていきたいと思います。

「犬に塩分は厳禁!」

犬を飼っている方なら一度は聞いた事があると思います。
私も自分の責任で犬を飼い始めた頃、塩分は摂取してはいけないものだと思っていました。

今日のお話は小難しいのですが、手作り食の方やこれからとり入れようとしている方には知っていて欲しい事です。

19698439_l

ナトリウムの働き・不足すると起こす障害

ナトリウムは、細胞間液や体内に循環する血液の量をコントロールする働きがあります。
また、浸透圧を調整し、酸とアルカリのバランスを保っています。
他にも、神経の伝達・筋肉の収縮・糖やアミノ酸の腸管での吸収にかかわっています。

不足すると倦怠感・食欲不振・血液濃縮・筋肉痛などの症状が出ます。
更に進行すると精神障害なども引き起こします。

慢性的に塩分が不足した状態だと、軽い下痢や嘔吐で立てなくなってしまう事もあります。

犬に必要な塩分量は?

生命維持に必要なナトリウムの最低量は一日4mg/kg(体重)と言う研究結果が出ています。
これは、生きていくために必要なギリギリの量。
適量は諸説ありますが、一日に25mg~50mg/kg(体重)です。

体重50㎏だと、1250mg~2500mgがナトリウムの適量となります。
ナトリウムで言われてもピンとこないので、塩分量にすると・・・3.175~6.35gになります。
(ナトリウムの塩分換算はナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)です)

実は、人間の”高血圧などで塩分制限された食事”と同じ位なんですね。

ちなみに、人間の塩分必要最低量は一日1.5g。ナトリウムに換算すると600mgです。
体重60kgの人で一日10mg/kg(体重)・50kgの人で12mg/kg(体重)です。
全身で汗をかく分、犬よりは多く必要なんですね。

とは言っても・・・世界保健機関(WHO)では健康な成人の適塩は5gと設定されています。
体重60kgの人で一日33.33…mg/kg(体重)・50kgの人で40mg/kg(体重)となります。
健康な犬の推奨値と同じですね。

厚生労働省の推奨は、健康な男性で一日9g未満・女性で7.5g未満です。
日本人は昔から味噌や醤油などを多く摂取するので、目標値を低く設定しているようです。

24236079_l-500x441

犬は体の一部からしか汗をかかないのに適塩量が人間と同じなのはなぜ?

犬も人間も細胞外液(細胞外に存在する体液)のナトリウム濃度はほぼ同じです。
細胞外液のナトリウム濃度が同じでも、犬は人間のように全身から汗をかかないじゃないか!と思いますよね。
最初にかいた汗に含まれる塩分は0.05%ほど。それから少しずつナトリウム濃度が上がっていきます。
継続的に汗をかく人は汗で排出されるナトリウム量も多いのですが、駅から会社や自宅までの一瞬しか汗をかかない人は失うナトリウムも微々たる物なんですね。

過剰摂取の害

人間の場合、高血圧や胃がんを引き起こしやすいと言われています。
高血圧は遺伝も大きく関わるのでハッキリとした因果関係は認められていないようですが・・・。

犬が過剰摂取した場合の害は、今のところ認められていません。
高血圧になる事もハッキリと確認されていません。
ですが、腎臓疾患や心臓疾患を進行させてしまう事がわかっています。

腎臓疾患や心臓疾患はシニアになるほど発症率が高くなります。
雑食とは言え肉食寄りの犬は、年齢を重ねるにつれ腎臓を傷める事も珍しくありません。
気付かないうちに悪化させてしまう事もあるので、年齢と共に塩分を控えていくのが良いのかなぁと思います。

ドライフードにはしっかりと塩分添加されています。
必要以上に添加されているフードもあり、それはそれで問題なのですが・・・。

多くの手作り食レシピで栄養計算すると、ナトリウムが不足しています。
他の栄養素なら食材を変えて1週間~3週間単位で栄養バランスを整える事も出来ますが、塩分だけは添加しないと摂取できません。
手作り食の方は、塩分不足になっていないか計算してみるのがお勧めです。

人気記事ランキング