その1・・【気付いている?】愛猫たちのストレスとその解消法

獣医師。酪農学園大学獣医学部卒業後、神戸の動物病院で4年ほど勤務し、命の重みを毎日痛感。結婚後移住した北海道の町には小動物の病院がひとつも無いという、このご時世大変びっくりな展開を経験する。現在新種の生物(息子)と格闘しながら、将来臨床への復帰を目指して再勉強中です。地域の子供達と動物の健全で安全な触れ合いの時間を作ることが、学生の頃からの密かな目標。・・ただの動物好きなので、いろいろな動物に関することを幅広く書いていきたいと思います。

一昔前まで、家のネコは気ままに外に出て帰ってきたり帰ってこなかったりする存在であったと思いますが、野良猫問題や交通事故、ご近所とのトラブルなどで今は室内飼いがメジャーになってきています。ずっと家の中にいるお座敷ネコたち・・その子の性質にもよるものの、少し間違えると気付かぬうちに慢性的にストレスを抱え込むことになるかもしれません。ストレスは病気にもつながりますし、ストレスから出たネコたちの行動が家族の悩みの種になるなんて事もよくあります。今回MNTで、スペインバルセロナ自治大学の獣医師チームが the journal of Feline Medicine and Surgery に投稿した、お座敷ネコのストレスと原因、影響、さらにその対策についてまとめた論文に触れている記事を見つけたので、ご紹介します。

家ネコのストレスの主な要因

ずっと家の中にいるネコたちは、ひとつ間違えるととストレスをたくさん抱え込んでしまう可能性があります。ネコたちのストレスの要因に、著者らは以下のようなものを挙げています。

・取り巻く環境の変化
・無味乾燥な環境
・人との関係が悪い
・他のネコと折が合わない
・世話が行き届いていない
・オーナーのネコへの態度が変わりやすく予測できない

他、新しく家族が増える、ルーチンの変化などもストレスになる可能性あり。

挙げられたものを見ると、多かれ少なかれ私たちでもストレスになりそうです。引越しや人の環境変化が多く忙しかったりする時期というのは要注意ですね。

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こんな行動の変化はストレスから・・?

ネコはストレスがかかると正常な行動に抑制がかかるか、または過剰な行動を取り始めるとされています。ストレスの結果・・

・元気がない、遊ばなくなった
・攻撃的になった
・食欲低下または過食に
・過度のグルーミングまたはグルーミングをさぼる
・オシッコをあちこちでする
・警戒up、よく鳴くように
・長期間どこかへ隠れる

といった行動の変化が見られるようになります。一見病気かと疑うようなものも多いですし、ストレスからくる行動だとはちょっと気付きにくいこともあるかもしれません。

実際にストレスが引き金となって病気を引き起こしてしまう例もあります。免疫力が下がれば感染症にもかかりやすくなりますし(一度治った“猫風邪”が再燃することも)、下痢嘔吐といった消化器疾患、間質性膀胱炎、アトピー性皮膚炎もストレスが要因で発症することがあります。おデブネコがストレスで食べなくなれば肝リピドーシスになる危険性もありますし、ストレスによる変化は見逃したくないところです。

ネコたちの生態に合った環境エンリッチメントを

実際にストレスがあるようだと分かったとき、対策はどうすれば良いでしょう。著者らはその対策のひとつにネコたちの生態に合わせた【環境エンリッチメント】を挙げています。具体的には、以下のようにします。

・リラックスできるスペースを作る(ごはん、水、おもちゃ付)
・パズルフィーダーを使ったり、いろいろな場所にフードを隠したりしてエサ探しに没頭させる
・興味や好奇心をそそるためにおもちゃは頻繁に変える
・棚やキャットタワーを設置して3次元で移動できるようにする(高いところが好き)
・隠れる場所を作る

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我が家も家族が増えたストレスや環境の変化でネコたちのトイレのトラブルに悩まされた時期もあったのですが、新しくキャットタワーを設置したり爪研ぎを増やしたりリラックスポイントを増やしたり・・でパタリと問題行動が止みましたね・・。あと、猫砂の種類を増やしてみたり行き届いていなかった場所の掃除もしたりしました。実際悩んでいたのはネコたちであったかもしれませんが、愛猫たちの気になる行動はその家族を精神的に追い込んでしまう場合もあります。(対処が困難になるとオーナーがネコを手放したり安楽死を選択したりすることになる悲しい結末があることにも、この記事では触れています。)

今回の記事を参考に、もしかしてストレス・・?と思い当たる節があれば、思い切ってネコたちのQOL上昇のために少しばかり投資してみてはいかがでしょうか。勿論、精神安定剤的なものも動物病院で処方してもらうことも出来ますが、ネコ自身のストレスを軽減することで改善できるのであれば、それに越したことは無いですからね。

その2へ続く

参照記事:Stress in domestic cats: new review discusses causes and management
Stress in owned cats: behavioural changes and welfare implications

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