その2・・【最初は匂いから】ネコたちを無理なく馴らすための戦略

獣医師。酪農学園大学獣医学部卒業後、神戸の動物病院で4年ほど勤務し、命の重みを毎日痛感。結婚後移住した北海道の町には小動物の病院がひとつも無いという、このご時世大変びっくりな展開を経験する。現在新種の生物(息子)と格闘しながら、将来臨床への復帰を目指して再勉強中です。地域の子供達と動物の健全で安全な触れ合いの時間を作ることが、学生の頃からの密かな目標。・・ただの動物好きなので、いろいろな動物に関することを幅広く書いていきたいと思います。

その1ではネコたちのストレスとその軽減方法をご紹介しましたが、その2ではストレスとなる刺激(他のネコとの軋轢による)の取り除き方にスポットを当てたいと思います。

新しくネコをお迎えする際にも有効

今回の論文で、著者らは同じ屋根の下に暮らすネコ同士のストレス軽減に役立つ戦略も示しています。重要なのは、【嗅覚で馴らす】→【視覚で馴らす】→【直接馴らす】の3つの段階を踏むことです。

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第1段階 【嗅覚で馴らす】

まずこの段階では、ネコたちは家の中で別々で暮らす(自分のテリトリー内には他のネコが存在しない状態)ということが重要。それぞれのスペースに食事や水飲みの場所、トイレ、爪研ぎなどが備わり、勿論ネコ自身リラックス出来る場所もある状態です。さらにこの段階で、飼い主のとあるワンプッシュが勧められます。それは、きれいなタオルや布で1匹のネコの臭腺をぬぐい、他のネコの頬に擦り付けるというもの。こうすることで、ネコたちはお互いの匂いに慣れることができるのです。

第2段階 【視覚で馴らす】

第1段階を経てネコたちがそれぞれのテリトリーでくつろぎ出したように見えたら、次の段階に進めます。第2段階では、まだ直接接触することなく、お互いを認識できるようにします。それぞれのスペースで心地よく生活しつつ、例えば安全なバリア(柵や網戸など)越しにお互いをちらちらと見えることができるようにします。最初から長時間するのではなく、様子を見ながら少しずつ顔を合わせることのできる時間を増やしていくようにして、視覚的に慣らしていきます。

第3段階 【直接馴らす】

第2段階でお互いに慣れていく様子が見られたら、バリアを取り除いて自然にお互いがアプローチできるようにします。

(ネコたちは3次元で移動できるので、バリアを張るとなるとそこそこ大掛かりになってしまうかもしれませんね。どうしても難しい場合は極力ストレスにならないようなケージやキャリーケースを有効利用して、とにかく嗅覚→視覚→接触の順で頑張っていきましょう。)

いかがでしょうか。我が家も先住ネコがいる状態に1年に1匹のペースで2匹のネコたちが追加されていきましたが、やっぱり先住ネコは最初はプンプンでしたね・・。勿論、最初は後から来たネコにしばらくキャリーに入ってもらって徐々に近づけて慣らしていったのですが、確かに先にまず匂いだけに慣れてもらっていたらもっとスムーズだったと思います。

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余談ですが、元々仲の良かったネコたちが、あるネコが入院して退院してきた途端そのネコに攻撃するようになってしまった、という話も結構聞いたりします。その場合も大体は病院でついた匂いが原因なので、部屋に入る前に予めお家のタオル(や家のネコの匂いをつけたもの)で身体を拭うなど対策を取った方が安心ですね。

参照記事:Stress in domestic cats: new review discusses causes and management
Stress in owned cats: behavioural changes and welfare implications

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