痛いの痛いの飛んでいけ!痛みを軽くすることの重要性とその方法

獣医師。酪農学園大学獣医学部卒業後、神戸の動物病院で4年ほど勤務し、命の重みを毎日痛感。結婚後移住した北海道の町には小動物の病院がひとつも無いという、このご時世大変びっくりな展開を経験する。現在新種の生物(息子)と格闘しながら、将来臨床への復帰を目指して再勉強中です。地域の子供達と動物の健全で安全な触れ合いの時間を作ることが、学生の頃からの密かな目標。・・ただの動物好きなので、いろいろな動物に関することを幅広く書いていきたいと思います。

前回前々回とリンパ腫と闘う信夫くんの話をお伝えしました。年をまたいでしまいましたが、今回はがんを患う愛犬、愛猫に出来るプラスアルファとして、痛みのコントロールについてのお話です。がん以外の慢性痛にも共通するところがあるので、参考にしていただけたらと思います。

がん性疼痛はなぜ起こる?

がんの種類や出来る場所、進行具合にもよりますが、がんが存在することで痛みが生じることがあります。腫瘍が骨や軟部組織や神経を圧迫したり、血管を閉塞させたり、痛みを伝える神経を活発にしてしまう物質が腫瘍から放出されたり・・腫瘍自身が原因となることは勿論、場合によっては腫瘍を切除したり、腫瘍を調べるために組織生検をする事も痛みの原因になります。他にも抗がん剤治療や、積極的な放射線治療の副作用も痛みにつながる場合があります。

【参考】 痛みの出やすいがん・・骨腫瘍、脳腫瘍、消化器系腫瘍、炎症性乳がん、泌尿器系腫瘍、前立腺腫瘍、口腔腫瘍、鼻腔腫瘍、浸潤性皮膚腫瘍 など

痛みがあるとどうなるの?

いずれの原因にせよ、痛みがあると私たちと同様に生活の質・・QOLが落ちます。ご飯を食べられないかもしれません。そうなってくると体の様々な機能がうまく働かなくなってきますし、病状が悪化しやすくなってしまいます。回復の見込みがあるものであっても、痛みがない時に比べて治癒に時間がかかってしまいます。

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もし、痛みがあることでごはんを食べられないのであれば、痛みを柔らげることによって食べてくれる可能性が大いにありますし、闘病生活を少しでも楽にしてあげられるはずです。どうぶつの場合は本能として痛みを隠そうとするケースも多いですが、痛みがあるときのペットの様子はこちらが分かりやすいと思いますので参考にしてみてください。

リンク 動物のいたみ研究会 慢性疼痛に関するポイントとチェックリスト

この痛みを取り除いてあげたい!

腫瘍自身が問題で痛みが生じているのであれば、その腫瘍を取ってしまう、または抗がん剤などで腫瘍を消滅させる方向に進められれば良いですが、それが難しいケースもたくさんあります。もしかして痛いのではないかな・・と感じることがあれば出来るだけ早く獣医師にご相談ください。獣医療でも鎮痛薬が使われていますので、痛み止めを処方してくれます。

ただ、薬や病状によっては痛みを完全に抑えることが難しいこともあります。食欲が出ない時はとりあえず食べてくれるものを与えてみると思いますが、もしも出来るなら以下のことを試してみるのもひとつです。(食欲があって処方食など栄養がきちんと満たされたものを食べられるのであれば、無理に添加しないか、加えるとしても過剰になり過ぎないように気をつけてください。)

【食欲が思わしくない時 】

・野菜や肉を煮出したスープを与えたり、食事中の肉(タンパク質)の量を増やしてみる

【痛みがあるとき添加してみて良いもの】

・ビタミンA,C,Eといった抗酸化物質
・魚油、亜麻仁油(オメガ3)
・特に関節の痛みには、グルコサミン、コンドロイチン、ミドリイガイ(動物病院でも手に入ります)

不安や恐怖は痛みを感じやすくする

触れ合ったり、不安が減ったり、楽しいと思えることがあると痛みの閾値が上がって痛みを感じにくくし、逆に不安や恐怖、孤独感などは痛みの閾値を下げて痛みを感じやすくしてしまいます。ご家族がそばにいて優しく撫でてくれる、またはいつものように明るく振舞ってくれる、そういった些細なことがペットの不安(これは主にご家族の不安が伝染してしまう事も多いと思いますが)などを減らし、痛みを軽くする方向に働きかけてくれるはずです。痛い部分やその近くを撫でたりさすったりする事そのものも、痛みを抑える効果が期待できます。身体的に問題無ければ、軽い運動もおすすめです。

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痛みの管理はノーマークだった、という方がもしおられましたら、動物病院にご相談の上、鎮痛薬と合わせて試してみてあげてください。痛みがあるのと無いのでは、目の前の景色が雲泥の差です・・!

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