【追記】実は身近かもしれない猫のフィラリア症

獣医師。酪農学園大学獣医学部卒業後、神戸の動物病院で4年ほど勤務し、命の重みを毎日痛感。結婚後移住した北海道の町には小動物の病院がひとつも無いという、このご時世大変びっくりな展開を経験する。現在新種の生物(息子)と格闘しながら、将来臨床への復帰を目指して再勉強中です。地域の子供達と動物の健全で安全な触れ合いの時間を作ることが、学生の頃からの密かな目標。・・ただの動物好きなので、いろいろな動物に関することを幅広く書いていきたいと思います。

moskeeto_nomura『血い吸うたろカ〜。いやー先日は血い吸え吸え詐欺みたいなんに遭ってしもうてえらいこっちゃやったなあ・・ん?なんや今度は丸々と可愛らしいお猫はんがおるやん〜。血い、吸うたろカ〜』

image『吾輩は猫である。この間は質問を読んでくれてありがとうニャ』

moskeeto_nomura『あー、あのときの〜。そんなんええってーうちとあんさんの仲やんカ〜。そしたらお礼と言ってはなんやけどちょっと吸わしてカ〜』

image『いいけど、最近えづくような発作が出て時々吐き戻しをするご近所さんがいて心配だニャ』

moskeeto_nomura『えー?それ、ちょっとフィラリア疑わしいやん〜。この間 フィラリアは犬以外にも感染する? でむっちゃサラッと伝えたけど、あれから猫のフィラリア症についてまた新しい情報もろたさかいに、ちょっと話聞いたるわ』

診断が難しい猫のフィラリア症

image『その子、猫喘息になっちゃったかにゃあと動物病院に行ったら、フィラリアの検査をしましょうと言われたんニャ。血液検査では陰性だったんだけど、それだけじゃ診断できないからレントゲン検査と超音波検査もするんだってナ』

moskeeto_nomura『フィラリアの抗原検査が陽性ではなかったけど、他の検査も合わせて診断していきましょちゅうことやな』

image『その日は予算が無かったから、レントゲン検査と超音波検査は次の診察の時にしてもらうって。あと、フィラリア抗体検査もするんだってにゃ。お金がかかるナー。ワンさんたちがしているフィラリアの検査でわからないこともあるのカ?』

moskeeto_nomura『あるあるー。犬で使てるフィラリア抗原検査のキット、あれ基本的に未成熟虫と雄虫だけの感染やと検出できへんねん。猫のフィラリア症の場合、成虫に成熟する前から発症するし、そもそも猫の体内では成虫までならへんのも結構おるから、そうなると検出できへんてわけ。成虫の寄生がなければ子虫も生まれへんから、ミクロフィラリアが血中にでてくることもほとんど無い』

image『それじゃあミクロフィラリアの検査もほとんどナンセンスだナ』

moskeeto_nomura『フィラリア抗体検査も、フィラリアおるけど陰性で出てしまうことあるし。せやから猫の場合は血液検査でフィラリアおりましたでーって出てきたら儲けもんくらいの気持ちやな。せやからレントゲン検査で肺動脈の拡張を見つけたり、超音波検査で肺動脈や心臓の中に犬糸状虫を見つけたりして、フィラリア症でしょうなあとなるわけ』

image『そう聞くと超音波検査が手っ取り早い気がするけどナ』

moskeeto_nomura『せやけどやな、犬糸状虫がもう死んでしまっていたら、見つけられへんし、その時によって微妙に移動していたりとかで一度の検査ではわからん場合もある』

image『結局、いなくてもクエスチョンマークが残るわけで、検査も何回かしないといけないのかニャーー』

猫のフィラリア症は呼吸器障害が主

image『ワンさんの場合、心臓やら肝臓やらあちこち悪くなっていくとのことだったけど、吾輩たちもそんな事になるのか、心配だに・・』

moskeeto_nomura『猫の場合の症状は咳とか呼吸困難とかの呼吸器症状。肺の血管系に犬糸状虫が移動したときに肺の血管内におるマクロファージ(免疫細胞)を刺激して、そのマクロファージ、犬にはおらんねんけど、それがオンドリャ〜〜!!ってなると肺動脈とか肺の組織に急性炎症を引き起こしてしまう。この段階で、急に亡くなってしまう猫さんらもおるわけ』

image『怖すぎるニャ!!』

moskeeto_nomura『それを乗り越えた猫さんらも、今度は犬糸状虫が死滅したときにまた炎症とか血管に詰まったりとかで急性の症状が出て、そこで2割くらいが負けてしまう。それも大丈夫やったかて、慢性的に呼吸器の症状がでてくる』

image『ご近所さんは、今その状態かもしれないんだニャ・・』

moskeeto_nomura『犬さんらみたいに心臓に負担がかかる事は滅多にないから(滅多にはないけど、1〜2匹のレベルでも大静脈症候群を起こす事があるで〜)、心音聴診してもわからん事がほとんどやし、無症状の猫さんらも3割近くおるという情報もあって、実は結構感染している猫さんらおるんちゃう、ちゅう話や』

感染猫の3分の1が室内飼育猫であるという報告もある

image『ええーそしたら、吾輩にもいるかもしれないにゃ?!あ、でも吾輩はお座敷猫だからほとんど外には出ないし、大丈夫かナ』

moskeeto_nomura『・・・あんさん、うちを目の前にしてよくそんな事が言えますなあ。あそこの網戸、開いてましたで』

image『わーー本当だニャーー!』

moskeeto_nomura『一歩も外に出たことがなくても実際感染して発症した猫さん、ボチボチいますで〜』

治療はステロイド剤などによる症状緩和

〜数日後、吾輩のもとに検査を受けたご近所さんが報告に来てくれた〜

moskeeto_nomura『血い、吸うたろカ〜、どうやったん?ご近所さん、結果どうやったん?』

image『結局、フィラリア抗体検査も陰性(偽陰性)だったけど、運良く(?)超音波検査で虫体が見つかって、フィラリア症の診断をもらったらしいにゃ・・結構薬飲むの大変って言ってたナア・・』

moskeeto_nomura『そうかー、そうしたらステロイドしばらくずっと飲まなあかんなあ。喘息と同じでちょっと良くなってきても薬止めてしばらくしたら症状がまた出てきたり、結構やっかい。治すというより症状を抑えて抑えてっていうコントロールが目標になるからな。状態がもっと悪いと酸素室入院になったり気管支拡張剤とか薬増えたり、さらには治療の甲斐無く・・ということやってあるからな・・』

猫にも予防を勧める動物病院が増えてきた

image『こんなにしんどくて毎日薬飲むくらいなら月に1度の予防薬くらいしておけばよかったナって、言ってた』

moskeeto_nomura『えーと、今2割近い病院で積極的に猫へのフィラリア予防を勧めていて、5割ほどは希望者に薬を出しているみたいやな。犬の場合は飲み始める前に血液検査することが多いけど、猫の場合ミクロフィラリアもほとんど出てけえへんしそもそも精度に問題ありやから、検査せんで体重確認だけという場合が多いみたいや』

image『ある意味気楽に始められそうだニャ・・ちょっと母上様と相談してみるニャ・・ワンさんと同じように飲むタイプとスポットタイプがあるんだってナア』

moskeeto_nomura『気管支喘息とかでも同じ症状やけど、もしかしたら実はフィラリア症だった例もあるかもしれんしな・・フィラリア症なら予防ができる』

image『そうだナア・・ところで、レントゲン検査の結果を見たご近所さんの反応が卓越していたんだってナ』

moskeeto_nomura『何それ?』

image『“我が肺(わがはい)がえらい事になっている”って・・』

(笑えない)

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