轢かないでください byヤンバルクイナ

獣医師。酪農学園大学獣医学部卒業後、神戸の動物病院で4年ほど勤務し、命の重みを毎日痛感。結婚後移住した北海道の町には小動物の病院がひとつも無いという、このご時世大変びっくりな展開を経験する。現在新種の生物(息子)と格闘しながら、将来臨床への復帰を目指して再勉強中です。地域の子供達と動物の健全で安全な触れ合いの時間を作ることが、学生の頃からの密かな目標。・・ただの動物好きなので、いろいろな動物に関することを幅広く書いていきたいと思います。

大変個人的なことですが、私は酉年のためか鳥がとても好きです。特に思い入れのある鳥は、ブンチョウ、タンチョウ、ヤンバルクイナです。そういうわけで、今回はヤンバルクイナのことについて書きたいと思います。

長くなるので結論を先に

ヤンバルクイナについては個人的感情から熱く語ってしまうと思われ、結果的に飽きてしまわれるかもしれませんので、この記事を書いた理由を先に書こうと思います。ヤンバルクイナは3月〜6月あたりで繁殖と子育てに勤しむ時期を迎えます。そう、人間がレジャーを求めてアクティブになる時期です。一方は子どもに与えるエサを集めるために走り回り、一方は大自然を求めて車で走り回る。ヤンバルクイナは飛べない鳥です。人間の車もまだ羽が生えていません。ということは、交通事故が増えてしまうのです。残念ながら、この時期特にヤンバルクイナだけでなく、他の貴重な生き物たちも車にはねられて死んでしまう“ロードキル”が後を絶ちません。そういうわけで、ただでさえ私たちは割と幅寄せして生きているわけですし、少しでも彼らに迷惑をかけないように、ゆっくりのんびり運転しませんか?余裕をもって出発して、もちろん事前にお手洗いもきっちり済ませておきましょうね。

では、では、ここから詳細に入っていきたいと思います。最後にはあのアイドル“キョンキョン”も登場しますので、是非見ていただけると嬉しいです。

ヤンバルクイナは沖縄本島北部にだけ住んでいる

みなさまヤンバルクイナのことをどこからどのあたりまでご存知でしょうか。赤い嘴と、赤い脚、他は黒地に白のシマシマ模様、目の横にシュッとこれまた白いライン。簡単に言うと、なんだかチョコボールが食べたくなるような、お洒落さん且つ憎めない風貌をしておいでです。

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そのコミカルな外観とは裏腹に、ヤンバルクイナを取り巻く環境は極めてシビア。その昔は那覇あたりにも生息していたのに、あれよあれよと言う間に北へ北へと追いやられ、今では北部の国頭村にしか生息していません。そしてその国頭村で、1981年に新種として発見されたのでした。と言っても、昔から地域の人たちにとっては当たり前の存在(アガチ:いそがしい・せわしないの意、などと呼ばれていた)だったのですが、調査のためその地を訪れた山科鳥類研究所の人たちが、ん?これ、新種じゃね・・?と気付いたのでした。ヤンバルとは山原(やんばる)と呼ばれる地域の意。ヤンバルクイナの住む山原の森はそれはそれは多くの種類の生き物が生息する、豊かな生命の森であります。

ヤンバルクイナは国の天然記念物

ところで何故ヤンバルクイナは北へ北へと追いやられたのでしょうか。このような人の良さそうな鳥が、悪い事なんてするはずがないのに。それは、人が持ち込んだマングースがひとつの大きな原因となっているのではないかと言われています。マングースの分布の拡大と、ヤンバルクイナが姿を消した時期と地域が一致しているのです。ちなみに野生化したネコ(ノネコ)のう○こから、ヤンバルクイナの羽が見つかった事も。がーん。そもそもヤンバルクイナが飛べない鳥になったのは、天敵となるような動物がいなかったためで、その様な環境にマングースやノネコが入って来ると太刀打ちできません。ノネコに関しては、NGOや獣医師会、地域の方々の涙ぐましい努力に寄って殺処分することなくその数をガツンと減らす事に成功していますが、マングースの根絶は難しく、今もなおその辺りにはびこっています。1981年の“発見”時約2000羽いたヤンバルクイナ、2013年には1500羽程度。いったい彼らはどうなってしまうのでしょうか。

ヤンバルクイナ生態学習施設“クイナの森”

愛すべきヤンバルクイナや他の生き物を、温かい沖縄の人が放っておくはずがありません。ヤンバルクイナたちの保護に関するいろーんな活動があって、昨年9月に“クイナの森”がオープンしました。ヤンバルクイナに会いたくて沖縄まで来たけど、残念ながらボウズだった・・そのような方でも、ここに来れば大丈夫。必ずヤンバルクイナを見ることができて、ヤンバルクイナや山原について知ることができます。今回は特別に、安田くいなふれあい公園管理責任者の島袋武志さんからいくつかポイントを教えてもらいました。

ヤンバルクイナの見学の為、やんばるまで車で来るときは、自然に優しくゆっくり走るようにしましょう。ヤンバルクイナの見学の為、路肩に車を停めないで広い場所に停めてください。地元の住民に迷惑にならないようにしてください。クイナの森では、キョンキョンが、間近で見られます。そして、ヤンバルクイナの生態についても解説員が説明してくれます。

・・ん?キョンキョン?

そうです!このクイナの森にはキョンキョンという、なんとも胸がキュンキュンするような名前のヤンバルクイナがおいでなのです!キョンキョンは、もうすぐ3歳で雌。草地で卵を保護して環境省の施設で人口孵化、人口育すう。クイナの森来館者の人気者だそうです。やんばるに訪れた際には上記のような注意点に注意して、是非立ち寄りたい場所ですね。やんばるの森に棲む生き物にまつわるいろーんな話もここで知る事ができると思います。そして、知る事によって、やんばるの森を一層好きになり、自分たちの場所に帰ってからも環境に優しくなれたらとても素敵。

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(写真提供:島袋武志)

そういうわけで、みなさま、旅行などはテンションが上がってしまうのも無理はありませんが、ゆっくり安全運転で、ゴミも捨てたりせず、きっちり持ち帰りましょうね。え?ネコを捨てるとか、ふざけた事おっしゃらないように。そんな人は、マダニにたかられますよ〜。

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