【その1】マダニの実態(を、マダニが解説します)

獣医師。酪農学園大学獣医学部卒業後、神戸の動物病院で4年ほど勤務し、命の重みを毎日痛感。結婚後移住した北海道の町には小動物の病院がひとつも無いという、このご時世大変びっくりな展開を経験する。現在新種の生物(息子)と格闘しながら、将来臨床への復帰を目指して再勉強中です。地域の子供達と動物の健全で安全な触れ合いの時間を作ることが、学生の頃からの密かな目標。・・ただの動物好きなので、いろいろな動物に関することを幅広く書いていきたいと思います。

はじめまして。うち、フタトゲチマダニ。

最近世間を騒がせているマダ二の仲間。

このパターン、フィラリアの記事と被ってるやんというツッコミも聞こえてきそう。
でも今回は特別に、かわいらしいイラストで解説や。
おるやろ、ムシが苦手で仮面ライダーとかも見られへん人。
そんな人でも、イラストなら百歩譲って見られるんちゃうかなって。
親切でやっているだけやから、イラストのクオリティには目をつぶったってな。
敵を知らずして対策は練られへんからね。
こんな情報自分で流して、なんたる自己犠牲。
まあでも最近わりとうちら繁盛してるんで、ちょっとお裾分けです。

そもそも、マダニって何者?

えーっと、ほんでうちら結局何?って話からやけど。

まあ言うたらダニやな。ダニ目マダ二科。

ダニといってもあれよ、家の中におるのとは違って、外の草生えてる所とかで暮らしているんですわ。そこで皆さんをお待ちしている訳ですよ、オッホッホ。

結構仲間多いの知っとってやろか?
うちらフタトゲチマダニは日本ではむっちゃメジャー。
他にも名前きっちり付いてるんだけでも日本に50種弱はおりますわ。
割とうちら好き嫌いなくて色々な動物にくっつくねんけど、それでもまあ好みくらいはあって。
ツリガネチマダニとかクリイロコイタマダニなんかは割と犬が好きって、この前三宮でお茶したとき言っていましたなあ。
うちらフタトゲチマダニとかキチマダ二も付く方かな。

あと、今話題になっているあれ。SFTS?重症熱性血小板減少症いうの?
あの原因ウイルスの遺伝子が検出されたんが、うちらフタトゲチマダニ、ヒゲナガマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダ二ほんでタカサゴキララマダ二。
みんな検査で引っ掛かってもたわーって割と悲しんでいましたわ。

うちらもほんまは嫌やもん、悪者になるの。

だって見てみて。

名前だけ連ねると結構可愛らしくない?
まあうちらの一番チャーミングなところは、吸血前後のいわゆるビフォーアフターが凄まじいところなんやけど。最初は数ミリ。血い吸ってパンッパンなったら1cmとか、種類によっちゃ10円玉くらいになりますで、オッホッホ。

tick

ええと、ほんでうちらはねえ、4つのステージ持っているわけ。

卵、幼ダニ、若ダニ、成ダニってね。

図を見てもろたらわかる思いますけど、要所要所で吸血することによって次のステージに進んだり、雌は産卵したりすることができるますねん。図を虫眼鏡とかで拡大してもろたら、幼ダニは3対6本、若ダニ・成ダニは4対8本の脚をもっていることがわかるんちゃいますかな。

tick2

吸血している期間ていうのが各ステージで数日から1週間前後で、全部合わせて数週間ほどになるねんけど、それ以外の数ヶ月から数年間、うちら何してると思います?

なんと、何もしてませんねん!

活動期(だいたい春〜秋)以外はただじっとしてるの。
ご飯なしで。

ちなみにキチマダ二は冬でも活動している頑張り屋さんやったりするけど、うちらの仲間、だいたいは冬は休んで、草木の伸びる頃にそぞろに活動を再開するんですわ。そしてこう、皆さんの炭酸ガスとか臭いとか、体温とか・・影や振動なんかもキャッチしまして、飛び移らさせていただくっちゅうことです。
水平移動が苦手で、運良く皆さんが通らなければ餓死してしまうところなんかは、ご愛嬌。かくいううちも草の上でスタンバっているところをなんやさっき勝手に連れて来られて・・まあ、いい迷惑なんやけども、ここはなんとか持ち前のサービス精神出して乗り切りますわ。

walking

うちら、結構がっつり食いつきます。
中にはセメント様物質出して皮膚と強〜く連結する仲間もおるしね。

血い吸い終わったらポトッと勝手に落ちよるのに、みなさんせっかちやなあ、なかなか待ってくれやしません。中にはブチってちぎってまう強者もぎょーさんおるおる。イボと間違えたとか言ったりしてな。イボ、ちぎるんかいな。

さっき言った通りがっつり食いついてるから、普通に引っ張ったってあかんねんで。
顎の部分だけ残ってしまうねんで。
それで皮膚に炎症起こしたりしてややこしいから、
ちゃんと人なら人の病院、犬なら犬の病院で取ってもらってくださいよ。

え?満足したら落ちるんやったら、自然に取れるの待とうかな?

あー、それも考えものやなあ。
うちら吸血し始めて24時間〜48時間くらい経ったら、各種病原体がそちらさんに移り始めるっていうねん。
そこがきっと、皆さんがうちらにビビっているポイントやろ。
1匹ならまだしも、みんな仲良く鈴なりで吸血するときもあるし。
そうなると貧血なんかも心配やね。
ついでに、吸血しているのが雌の成ダニやった場合、落ちてから早けりゃ数日でそこらへん卵だらけになりまっせ〜。そして次は幼ダニにぎょーさんたかられますで〜、オッホッホ。

それが嫌ならうちらがくっつかんように努力する事ですわ。
人なら国立感染症研究所のHPなんかも要チェック。
犬なら幸せな事に予防薬があるからそれを定期的に使う事。

予防薬?何やそれ言う人は、早く動物病院に相談しなはれ!

それが嫌なら、お散歩の後にフサフサの毛えかき分けて、全身くまなくチェック。
けど、完璧にはなかなか難しいでしょうなあ。
・・ああ、うちはなんてお人好しなんやろか。
マダ二好しといった方がええんやろか。
どうでもええけど、ひとりでえらい喋って、喉ガラッガラやわ。
はよ草の上戻して。
え?何かもう少し情報くれ?
そしたらうちらが媒介するっていう病気のことも話しておこかな。
かなわんなー。

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